予防歯科

お口の中の菌は、体を駆け巡る!歯周病と全身疾患について

お口の中は菌がいっぱいです。

歯をよく磨く人:1000〜2000億個
歯をあまり磨かない人:4000〜6000億個
ほとんど磨かない人:1兆個

バイオフィルム可視化

菌が沢山いる状態で、お口の中で出血がある場合どうなるでしょう?
出血がある=血管が切れている状態なので、そこから菌がお口の中の菌が入ります。そして全身を駆け巡り、体のあちこちに悪さをします。

例えば…
・インフルエンザの感染率が10倍
・低体重児・早産のリスクが7倍
・糖尿病、心臓病、腎臓病などの疾患との関係
・認知症

かなり気になる結果だと思いませんか?
ひとつづつ説明していきますね。

お口の中をきれいにするだけで、インフルエンザ発症率89.8%減!

歯周病は、インフルエンザ感染にも関係していることがわかっています。
6か月間のインフルエンザ発症率

歯周病菌は、インフルエンザウイルスが粘膜に侵入する手助けをする酵素により(プロテアーゼやノイラミニダーゼ)、インフルエンザ感染にも関係していることが明らかになっています。
ある研究では、インフルエンザになりやすい冬に、歯科衛生士さんによる口腔ケアを受けた人』と『受けなかった人』で、インフルエンザ感染率を調べたところ、10倍ほどの違いがあったそうです。(日本歯科医学会誌25号)

インフルエンザの予防接種と一緒に、ていねいな口腔ケアで感染リスクを減らすことが大切です。

妊婦さん必見!歯周病菌とお腹のあかちゃんへの影響

昔の人は、子供を生むと、子供にカルシウムが取られるから産後歯がなくなると考えていたようですが、妊娠すると以下のことが起こるため、むし歯になったり、歯周病が悪化することがわかっています。
1.女性ホルモン増加による1部の歯周病菌の活性化による歯ぐきの腫れ
2.つわりなどで歯ブラシが困難による衛生不良による歯周病の悪化
3.食べつわりなどによる食事回数の増加によるむし歯の進行

とくに、気をつけたいのが歯周病で、図のように早産や低体重児出産に影響するといわれています(現在日本では、約10人に1人が低体重児や早産で産まれています)
妊婦の歯周病と早期低体重児出産

妊婦さんが歯周病にかかっていることで、低体重児・早産のリスクが約7倍も高くなることをご存知でしょうか?
妊産婦における早期低体重児出産の危険率

歯周病治療することで、リスクを減らすことができることを示す研究結果がこちらです。
歯周治療と早期低体重児出産

妊娠する前から、むし歯治療や歯石除去を受けておき、妊娠したら予防に通うという形がベストです。
現在妊娠中の方も、できる限りケアしていくことをおすすめします。

糖尿病と歯周病の関係

糖尿病と歯周病は関係が深く、『糖尿病の人は歯周病になりやすく』『歯周病がよくなると糖尿病も改善』する傾向にあるといわれています。

糖尿病になると、免疫力が弱まります。免疫力が弱まると、歯周病が悪化します。歯周病になり、歯ぐきが炎症を起こすとTNF-αという血糖値コントロールを邪魔するサイトカインが出るため、歯周病と糖尿病の相関関係がおきるとされています。

では、歯周病治療により、どれくらい糖尿病が改善するのでしょうか?

あるデータによると糖尿病の指標であるHbA1c値が0.5〜1.0%改善した研究結果があります。
一見ほとんど変化が無いように見えますが、値が1%でも改善すると、糖尿病に関連した死亡率を21%も予防できるため、歯周病の治療が糖尿病治療において大切なことは確かです。

また、糖尿病以外にも、歯周病を放置することで、心臓の病気には2〜3倍、腎臓の病気は5倍罹りやすいというデータもあります。

 

人生100歳時代、口腔内細菌と認知症の関係

2019年の九州大学の臨床研究により歯周病菌のリーダー菌であるPg菌成分がアルツハイマー型認知症患者の脳内から発見されたことにより、歯周病によるアルツハイマー型認知症への関与が注目を集めています。

いくつかの研究をみてみると、『重度歯周病と認知機能低下が正相関すること』が報告されています。
噛める状態かどうか?と認知症には深い関わりがあること以外に、認知症の原因にお口の中の細菌も関係があることの報告もあります。
その他にも、お口の中に、むし歯菌であるS.mutans(コラーゲン結合能を保有する)が存在すると、脳内の微小出血を発症するリスクは14倍になるという研究もあります。

現段階では、認知症の特効薬、原因などがまだはっきりしておらず、開発が望まれている状況です。しっかり噛める状態を維持し、歯周病予防をし、認知症予防していきましょう。

2017年、日本の90歳以上の人口が200万人突破(総務省発表)
国民の平均寿命女性87.57歳、男性81.47歳、(2017年厚生労働省)

「人生100歳時代」という言葉を実感しつつ、長生きできるなら、健康で楽しく暮らしたいものです。
健康寿命、予防医学、歯科医療を通じて、健康サポートに関われることをうれしく思います。

歯周病は万病の元といっても過言ではありません。
日々の生活で少しずつ取り組んでいきましょう。

以下もよろしければご参考ください。

 

歯ブラシや歯磨き粉についての参考は

Amazonで買える歯医者おすすめの歯ブラシBEST3 Vol 10-2

楽天マラソンで買おう!予防を得意とする歯医者が薦める歯磨き粉3選  Vol.10-1

歯ブラシについては、、、

面倒だからこそ!しっかり歯磨きのススメ

もご参考ください。

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