予防歯科

虫歯予防のミカタ「キシリトール」をやさしく説明

こんにちは、院長の前田です。

キシリトールが虫歯予防になる。ということは広く知られていることですが、今日はその仕組みについてわかりやすく説明していきたいと思います。

キシリトールは一言で言うと”虫歯菌を減らすお薬”

キシリトールは”虫歯菌のエサである糖分とそっくりな形をしており、虫歯菌が糖と間違えてキシリトールを食べるけど分解できないので虫歯菌が減ってしまう”という仕組みです。

もう少し、詳しく説明していきますね(^^♪

キシリトールは、世界各国の長期研究でむし歯の予防効果が認められています。世界で最初の研究は1975年と言われており、長期的に研究されてきた歴史があります。
(赤ちゃんが生まれる前、もしくは生まれてすぐに、お母さんがキシリトールガムを噛むことが、子どものむし歯を防ぐ事も証明されています。)

キシリトールは天然素材の甘味料

キシリトールは天然の素材から作られる甘味料です。主な原料は白樺や樫の木などです。
微量ですが、イチゴ、ラズベリー、プラム、カリフラワー、ほうれん草、レタスなどにも含まれています。
むし歯予防に効果的なキシリトールの量は1日約5~10gと言われていますが、例えばイチゴに含まれているキシリトールは乾燥重量100g中に対し約300mg。1kg食べても全く足りません…

そこで、手軽にキシリトールを摂取できるガムなどを活用するのがおすすめです。

キシリトールの効果

キシリトールはむし歯の原因にならないだけでなく、むし歯の発生や進行を防ぐ効果があります。

1.甘さがだ液の分泌を促進

キシリトールの甘さは砂糖と同じくらいです。そのため、口の中に入れると味覚が刺激され、だ液の分泌が促進されます。
だ液が分泌されることにより、歯の再石灰化の促進に繋がり、歯の修復や成熟を助けます。

2.むし歯の原因にならない

マルチトールやソルビトールなどの糖アルコールはお口の中で虫歯の原因となる「酸」を若干産生します。しかし、キシリトールはむし歯菌が代謝できないため、お口の中でまったく「酸」が作られません。
さらに酸の中和を促進する働きも持っています。

3.ミュータンス菌の活動を弱める

キシリトールを代謝することができないと、むし歯の原因であるミュータンス菌は活動ができなくなります。ミュータンス菌の活動が弱まると、酸やプラークの元(不溶性グルカン)を作ることができなくなります。
しかし、ミュータンス菌はエネルギーを得ることができないまま、代謝だけを繰り返すことにより、ミュータンス菌自体が弱ってくると考えられています。

4.プラークの質の変化

ミュータンス菌の活動が弱まると、プラーク量が減少するとともに、プラーク自体がサラサラになっていきます。サラサラのプラークは歯の表面からはがれやすく、ブラッシングの効果が上がり、歯磨きがラクになります。

 

キシリトールはあくまで予防

キシリトールを摂取はむし歯になりにくいお口の環境を作ることができますが、キシリトールを食べることが歯磨きの代わりにはなりません。

また、個人差はありますが、キシリトールでおなかがゆるくなる方もいます。
キシリトールは食物繊維と同様に、消化・吸収がされにくく、腸内の水分が増える事によって下痢が起こると言われています。この現象は一過性のもので体に害はありません。

 

むし歯予防に効果的なキシリトールガムの選び方

購入する前にパッケージの成分表示の項目を確認しましょう。

1.キシリトールが50%以上含まれることが目安

キシリトール配合と書かれていても、含有比率はさまざまです。より、高い効果を得たいのであれば、糖質(炭水化物)中におけるキシリトールの割合が50%を超えていると安心です。高配合のものを選びましょう。
キシリトールのむし歯予防効果を得るためには、キシリトールが50%以上配合されていることが必要です。
含有量に関してのルールは無く、キシリトールが微量しか配合されていない市販品もあるため、注意が必要です。

2.シュガーレスもしくは糖類0gに注目

キシリトール配合の場合でも、砂糖などが入っていては意味がありません。「シュガーレス」表示と、糖類が0gであることも確認しましょう。

3.クエン酸などの酸を含んでいないもの

その他には、フルーツ味など、柑橘類の香料が多く含まれる場合、酸を産生する可能性があるので注意が必要です。配合されていないものを選びましょう。

 

キシリトールガムやタブレットの市販品と歯科医院専売品の違い

歯科専売品はキシリトールを100%含有で使用しているため、キシリトールの効果が十分に期待できます。市販品と歯科医院専売品の違いは、キシリトール以外の糖類含有の有無です。

市販品ではキシリトール以外にも糖類が入っているため、キシリトールの効果が半減します。これが市販品と歯科専売品の大きな違いです。

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