患者さまとの会話シリーズ Vol.11
患者プロフィール:Tさま(30代・男性)
気になりごと:
・歯磨きが、めんどくさくなってしまう時がある。
・裏技があったら教えてほしい。
実は歯科医師の私も、毎日、面倒だな〜と思いながら磨いている1人です。
面倒だなと思うからこそ、短時間で効率よく磨ける方法について研究する日々です(笑)
そこで、今日は私が実践している「効率よく、虫歯予防できる 歯磨き方法」について書こうと思います。
ポイント
・効率的に磨ける歯ブラシ、効果が高い歯磨き粉を用意し、歯ブラシは、極弱で磨くのが効率的
①歯磨きは1日1回はしっかり磨く時間を取り歯石を付かないようにする
②1日2〜3回フッ素がしっかり入った歯磨き粉で磨いてむし歯予防
歯磨きは1日1回「しっかり」。毎食後は「ささっと」。
ビックリするかもしれませんが、磨く回数を増やすより、コツをしっかりと押さえてて1日1回しっかり磨くことで、歯医者さんに褒められるお口の中になるんです。
なぜ1日1回しっかり歯磨きでOKなのか?
プラーク(細菌の塊)は24時間で形成されると言われています。つまり、1日1回、しっかりと汚れを取ることができれば、歯石の形成は抑えられるので、極端にいえば、その他の歯磨きは食後に、ささっとでもOKです。
歯磨きができない場合は、食事の最後にお茶かお水を飲みます。
②口の中は、通常弱アルカリ性ですが、食べ物食べると酸性に傾くため、歯が溶け、むし歯の原因になります。食後30分位で唾液中のカルシウムなどのミネラルの力で修復されます。歯が溶けるのを防ぎ、むし歯から守ってくれるのがフッ素です。
フッ素のたくさん入った歯磨き粉(オトナに推奨は1450ppmF)で1日2回以上(うち1回は就寝前)磨くことで、むし歯予防に繋がります
ハミガキで重要なのは、虫歯菌や歯周病菌がいる歯と歯の間や、歯の溝、歯と歯茎の間などを徹底的に磨くこと。
プラーク(細菌の塊)がしっかり取れなければ、たくさん磨いても、意味がない歯磨き時間になってしまいます。
無理して3回テキトーに磨くより、1日1回しっかりとできる時間をつくって行うのがポイントです。
しっかり歯磨きのタイミングはいつがいい?
あえてタイミングを加えるとすれば食べたあと、30分くらい経ってから。
臨床データによると、食べた直後の歯磨きは、溶けた歯の表面のミネラルが戻りづらくなる(虫歯になりやすくなる)ため、少し時間をおいて、歯の状態が落ち着いてから磨くと安心です。
また、唾液が少ないドライマウスの方はリスクが高いので食後すぐにみがくのがベストです。
ハミガキはタイミングや回数より、磨き方などのクオリティを大切にしてください。
効率アップの歯磨き方法
歯ブラシはお掃除なので、よくホウキに例えられ、きれいにお掃除できるかどうかはブラシの質と使い方が重要です。
使い古した変形したホウキではいくらお掃除してもゴミが取れなかったという経験はありませんか?ホウキの腹では細かい部分は掃除しにくく、先端をしっかり使うことで効率的にお掃除ができます。
毛先が開いた歯ブラシでは汚れの除去率が40%劣ってしまうというデータがありますので、歯ブラシの交換目安は1ヶ月に1回がよいでしょう。
歯ブラシ選びのポイントは、歯面にしっかり当たる、適度な”コシ”があるブラシがベストです。
具体的なおすすめ歯ブラシについては、過去ブログ『Amazonで買える歯医者おすすめの歯ブラシBEST3』にありますので、ご参照いただけたらと思います。
歯ブラシの使い方、これが1番重要かもしれません。
極弱の力で、1歯につき10回くらい。歯ブラシの毛先が変形しない程度の圧力でしっかりと歯面にブラシの毛を当てて磨きます。強く当てても、ブラシの毛が逃げてしますので、汚れが落ちにくいのです。
優しい力で!!がポイントです。
まとめ:
むし歯の発生率(35歳以下)は、6年間メンテナンス続けた人は、むし歯0.2本。
サボった人はむし歯14.9本(74.5倍むし歯になりやすい)。参考論文:Axelsson 2004年
お家で歯ブラシしにくいお口の中だったり、歯石がある状態で血がでてしまう、という場合は、歯科医院での検診と治療が優先されます。原因(詰め物がずれていたり、むし歯になりやすい環境だったり)を除去してから、効率的にセルフケアし、むし歯予防していきましょう。
『楽天マラソンで買おう 予防歯科が得意な歯医者が薦める 歯磨き粉』も参照し、効果的な歯磨き生活を送れますように。