以前、
Amazonで買える歯医者おすすめの歯ブラシBEST3 Vol 10-2という記事を書きました。
今日は、清掃力はどこで決まるのか?ランキングに選んだ歯ブラシ、歯磨き粉、なぜ、これにしたのか?について詳しく書いていきたいと思います。
(ランキングだけ気になる方は上のブログに移動してください)
『清掃力』を上げるには、道具も重要です。
歯ブラシの清掃力、歯磨き粉による清掃力の組み合わせも重要です。
また、同じ人でも、その時の状態により歯ブラシ、歯磨き粉、補助用具のおすすめは異なる場合があります。
目次
口腔内の環境が変わるケースの例
- 歯ブラシさぼっていた方が歯ブラシをスタートする場合
- 歯を抜いたり、外科処置後
- ブリッジ入れる前に歯ぐき引き締めるための歯ブラシ
- インプラント後の歯磨き
- 被せ物などの治療も終了し、細かいところも磨きたい
など、状況により適した道具を使うことにより、より効率的になります。
予防のプロにその都度、歯ブラシセットコーディネートしてもらうと
- むし歯、歯周病のリスクを把握した上でこれからの治療に合わせたもの
- 現在の磨く癖や治療段階に合わせたもの
を勧めてもらえるのでおすすめです(オペ後は?インプラント後は?電動歯ブラシは?etc)
清掃力に関わるブラッシング圧について
ブラッシング圧は、本当に弱くを意識。茹で卵が傷つかないくらいがちょうどいいとされています。ブラシの毛先を狙ったところに的確に当てられるかどうかがポイントになりますが、ブラッシング圧が強いと、毛先が広がってしまうので、作用が半減してしまいます。
また、毛先が開いたブラシは清掃力が40%減少します。歯ブラシを柄の方から見て、ブラシが開いてないかチェックし、開いていたら、スグに取り替えましょう。(写真)
歯ブラシ指導を活用して歯磨きをレベルアップ
ブラッシングのテクニックについては、保険治療の範囲内でプロがワンツーマン指導してくれます。ブラッシングの時間や頻度など、パーソナルに考慮した意見を教えてもらいましょう。
より良いアドバイスを聞く方法としてお勧めしたいのが、ご自身の歯ブラシ習慣をありのまま伝えることです。
視診や検査、掃除の際に歯ぐきや歯石の付き具合で実態は把握できますが、普段の歯磨きの習慣や方法を知ることはできません。
- 使用している歯ブラシ
- 使っている歯磨き粉
- 1日の歯磨き回数
- 歯を磨くタイミング
など、教えていただくことで、磨いていなくて汚れているのか?磨いているのに、汚れが落とせていないのか?がわかります。
歯の状態、普段の歯ブラシの方法を知ることで、より早く清掃力を上げるために、使用する歯磨き粉、歯ブラシ選びなど、具体的で的確なアドバイスができます。
もちろん、忙しいから、歯科のクリーニング(プロケア)に来た、という方もおられると思います。それはそれで良いのですが、しっかりとしたセルフケアの継続と定期的な検診を行うことで、良い状態を保っていく事が予防歯科の根底にあります。
というわけなので、普段の歯磨きについては、細かく教えていただけると助かります。磨けてないから怒ったり、などは一切ないのでご安心ください笑。
歯医者に行くから数日前から念入りに歯ブラシして、、、ではなく、ありのままを見せていただき、聞かせていただく方が、日常生活においてのケアの負担を考慮したり、ご希望に併せたアドバイスをすることができます。
ちょっと血がでた、なんだか違和感がある、などなど、我慢せず気軽に相談してください。アドバイスを受けたいときは、どんどん質問していただけるよう、気軽に相談できる歯科医院を目指しています。
おおまかな目安はむし歯にしない3つの習慣 Vol.5-1も併せてお読みいただけると幸いです。
何を基準に選ぶ?歯ブラシの選び方
歯ブラシの選び方はいくつかあるのですが、歯ブラシの毛先で選ぶ!という視点でお伝えしていきたいと思います。
ラウンドカット毛
歯の面に接触する面積が大きいのでプラークの除去率が高い傾向にあります。
アルミ実験でも、除去率が高さが確認できました。
ベタっと硬いプラークがつきやすい混合歯列期や、むし歯傾向が強い方におすすめの毛先です。
中でも、この歯ブラシがラウンド毛の中でも汚れ除去率が高いのでおすすめです。
この歯ブラシの毛先の球体部分を歯にあてることにより、汚れを除去するイメージで、力は極弱でOKです。ブラシの毛が寝てしまうと効果が半減します。
テーパード毛
先端に向かって細くなっているので、歯と歯の間や歯周ポケットにも挿入しやすく、ポケット内プラークの除去に向いています。
主に、歯ぐきの近くを磨くことをメインとしているので、比較的柔らかく、歯周ポケットに入りやすいものが多いです。
磨き方や力加減によっては、過度に歯ぐきが下がってしまう場合がありますので、プラーク(磨き残し)の質や付着の仕方をしっかり観察したうえで、歯ブラシの硬さを選択していただくのがベストです。
スーパーテーパードの中でも、おすすめの2種はこちらです。
他と比べ、ブラシのコシがあるので、優しく歯周ポケットに入りつつも、しっかりとコシもあるのでプラークもしっかり落とせる優れもののブラシ毛です。
左がドラッグストア製品、コンビニ製品、の歯周ポケットに入りやすそうな商品(歯科医師推奨と書いてありました)。
使用感の違いを再確認しました笑
クーレンファイバー毛
通常のブラシの半分の幅に10倍の毛量で、一気に汚れを取り去るコンセプトの歯ブラシです。ブラシの毛量が多いので、通常のナイロン毛が水分を吸ってしまうのに対し、水分を吸収しないので、ブラシの変形もおきにくく長持ちする。(通常1ヶ月交換が、3ヶ月交換でOK)
この特殊毛のため、値段が高い、かつ、磨き方が特殊で少し難しいというのが難点です。
(ちなみに、デザイン性があり、洗面台がおしゃれになります。)
【クラプロックス-電動】
この特殊毛を生かす磨き方は少し難しいので、当院では、同社の電動歯ブラシをおすすめすることが多いです。
電動歯ブラシこそ、力加減にて歯を摩耗してしまう心配があるのですが、こちらの製品は優しい毛質なので患者さまに安心しておすすめできます。
フロス
歯ブラシと併用してお使いいただきたいのが「フロス」です。
購入しやすい某メーカー使用し、「プラーク吸着実験」行いました。画像でもわかるように、驚くほど違いが出ました。
結論として私は、フロアフロスが1番おすすめです。
フロスは、どれも同じような糸に見えますが、本当にただの糸だと、汚れが取れないんですね…。
大人はホルダータイプより手巻きタイプのほうがおすすめです。ホルダータイプのフロスは、歯と歯の間からフロスが抜けなくなってしまったときのことを考え、安全性を考慮し、手巻きより弱く切れやすい安全設計になっています。
歯磨き粉は成分が重要
種類がとても多くて何を選んで良いか迷いますよね。というわけで、まずは表示の見方から勉強していきましょう。
3つの確認ポイント
1)薬用成分をみてみる
2)並び順が配合量順
3)避けた方がいい成分
【基本成分】
●清掃剤(研磨剤)
成分:炭酸カルシウム、無水ケイ酸、水酸化アルミニウム、リン酸水素カルシウム
働き:『汚れをかきとる作用』は、ホワイトニング効果や清掃力アップに効果があります。歯の表面を傷つけずにプラークやステインなどを落とす。
●浸透剤、清掃助剤
成分:PEG4000、無水ピロリン酸Na
働き:汚れを浮かせる
●湿潤剤
成分:グリセリン、ソルビトール
働き:歯磨剤に適度の湿り気を与える
●発泡剤
成分:ラウリル硫酸ナトリウム
働き:口内に歯磨剤を行き渡らせやすくする泡だち成分
●粘結剤
成分:カルボキシメチルセルロスナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン
働き:粉と液を結合させ、保型性を与えたり、適度な粘性を与える
●香味剤
成分:サッカリンナトリウム、メントール、ミントなど
働き:爽快感と香り
●保存料
成分:安息香酸ナトリウム
働き:変質を防ぐ
【薬効成分】
下記のうち1つか2つ含まれていることが多い。
●むしば予防
成分:モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム
●歯肉炎予防
成分:塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、アスコルビン酸
●歯周病(歯肉炎、歯周炎)予防
成分:塩化クロルヘキシジン、トラネキサム酸、グリチルリチン酸ジカリウムE、塩化ナトリウム、アミノカプロン酸、酢酸d-ll-αトコフェノール、
●プラークの分解
成分:デキストラナーゼ
●歯石沈着予防
成分:ポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、無水ピロリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、
●知覚過敏抑制
成分:乳酸アルミニウム、硝酸カリウム
●たばこのヤニ除去
成分:ポリエチレングリコール、ポリビニルビロリドン、ポリリン酸ナトリウム
●口臭防止
成分:ラウロイルサルコシンナトリウム、銅クロロフィリンナトリウム、ヒノキチオール、塩化リゾチーム
【ライオンが個別に国の承認を取得した薬用成分】
●歯垢の沈着の予防および除去
成分:デキストラナーゼ
●出血を防ぐ、歯肉炎の予防、歯槽膿漏の予防
成分:トラネキサム酸
●歯肉炎の予防、歯槽膿漏の予防
成分:オウバクエキス
●歯がしみるのを防ぐ
成分:乳酸アルミニウム
歯磨き粉による汚れや着色除去の研究報告は数多くありますが、ここでは、代表的な臨床報告論文の結果を紹介します。
・水だけでは30%の汚れ除去に対して、炭酸カルシウムを含有する歯磨剤を用いた場合、64%の汚れ除去ができた。
・歯磨き粉の有無により、除去率が30%異なる。
参考論文:Rustogi,De la Rosa
ブラッシング圧が強い場合や研磨剤の種類、硬さ、大きさ、形状、配合量などによっては、歯を傷つけてしまう場合もあります。一般の市販品のなかには、明らかに強力な研磨粒子を配合しているものもあり、注意が必要です。
歯科医院専売の歯磨き粉の多くは低研磨~無研磨で低発泡の製品が主流となってきています。
『研磨剤=歯が削れてしまうから、よくない』という考えもありますが、必要な清掃力を補うものとして、自分にあった製品を選択していくことで清掃力アップに繋がります。
電動歯ブラシを利用する場合には、研磨剤使用は避けるようにしましょう。
有害物質について
お口の中の粘膜は皮膚などと比較し、角質層がないのでバリアが少なく、吸収率は10~20倍といわれています。
市販品には含まれていることが多いので、注意が必要です。
【有害化学物質】
●合成界面活性剤(ラウリル硫酸Na)
●湿潤剤(プロピレングコール)
●合成甘味料(サッカリンNa)
●防腐剤(パラベン)。。。etc